田村秀男の日曜経済講座

中国経済「回復」という罠 対外膨張主義に呑み込まれるな

外貨準備減少の主因は資本逃避である。15年夏は人民元レートの切り下げ、その後は不動産市況の悪化、そして18年夏には米中貿易戦争が勃発した。習政権は資本逃避を食い止めようとして中国共産党幹部による不正蓄財を取り締まった。党幹部やその身内が不正行為によって稼いだ富はドルに換えられ、海外に持ち出される。逃避の中継基地が香港である。

国安法は香港から政治、表現の自由を奪い、監視を強めて資本逃避ルートを塞ぐが、香港市場でもうける自由はそのままにする。全体主義特有のやり方である。強欲な資本主義経済に独裁政治が寄生し、しゃぶりつくす全体主義が香港を覆う。

6月末の香港株式市場の時価総額の78%が中国企業であり、本土の投資家が人民元を香港の中国企業株に投資して、相場を押し上げる。すると、巨額の売買益を手に入れられる。他方で、香港から上海株式市場へとカネが還流して上海株も上昇する。(詳細は18日付の本紙拙コラム「経済正解」参照)

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