田村秀男の日曜経済講座

中国経済「回復」という罠 対外膨張主義に呑み込まれるな

もう一つの、不安要因が外貨難である。中国の通貨制度は実質的な意味で「ドル本位制」であり、流入する外貨、すなわちドルの量に応じて中国人民銀行が人民元資金を発行する。

リーマン危機発生時は人民元発行残高のドル換算値をはるかに上回る外貨資産を有していた。人民銀行はそれを担保に人民元を大量発行し、国有商業銀行に供給。そして銀行は産業界や地方政府、消費者への融資を一挙に拡大した。中央政府は金融面でのゆとりを背景に大型の財政出動に踏み切った。

しかし、人民銀行の総資産に占める外貨は15年には人民元残高比で100%を割り込み、17年末には7割を切り、現在に至る。この結果、コロナ不況対応での金融の量的拡大は限られ、政府の財政出動も極めてしょぼい。前述した李氏の屋台復活案は苦肉の策である。

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