■豪、対中警戒へ転換…インドネシアも
【シンガポール=森浩】南シナ海などインド太平洋地域で影響力を拡大する中国に対し、近隣諸国は警戒感を強め、米国との連携を進めるなどして対応強化に乗り出している。
オーストラリアは今月発表した新国防戦略で、中国の海洋進出を念頭に今後10年間で国防分野に2700億豪ドル(約20兆円)を投じる計画を明らかにした。当初計画の40%増となる。米国から長距離対艦ミサイルを購入するなど海上防衛に重点を置くもので、「国防戦略において、ここ数十年で最大の転換」(英紙ガーディアン)とされる。
豪州は南シナ海への関与も強めており、23日には、南シナ海での中国の権益に対する主張を否定する文書を国連に提出した。
インドネシアも今月に入って、南シナ海で2千人が参加する大規模な軍事演習を実施。「自国の領土に対する主権を主張する決意の表れ」と地元紙は報じた。
ベトナムも南シナ海での中国の伸長に繰り返し懸念を表明しており、22日には米国と漁船の安全な操業を確保するために連携することで合意した。ベトナム近海では、中国船による衝突で、ベトナム漁船が沈没する事故が相次いでいる。