「和歌の家」冷泉家、蔵新設の寄付募集 一昨年に台風被害(1/2ページ) - 産経ニュース

メインコンテンツ

「和歌の家」冷泉家、蔵新設の寄付募集 一昨年に台風被害

貴重な古典籍を保管している冷泉家敷地内の蔵=京都市上京区(冷泉家時雨亭文庫提供)
貴重な古典籍を保管している冷泉家敷地内の蔵=京都市上京区(冷泉家時雨亭文庫提供)

 平安時代前期の「古今和歌集」を書写し、その後の研究に大きく貢献した藤原定家(1162~1241)を祖先に持つ冷泉家(れいぜいけ)。「和歌の家」として800年間、その文化を受け継いできたが、一昨年の台風による施設の破損などで古典籍などを保管する蔵の新設を迫られ、建造費の調達に苦心している。文化財の保存、伝統文化の発展に寄与しようと、寄付を募る取り組みを始めた。

屋根が飛び雨ざらしに

 冷泉家の敷地には8棟の蔵があり、定家の書写した国宝の「古今和歌集」といった古典籍や古文書、年中行事の道具類など、鎌倉時代初期から江戸時代の貴重な文化財を保管してきた。

 重要文書を保管する「御文庫」といわれる書庫は非公開だったが、1980年代から文化庁や研究者の調査が入り、貴重な資料の宝庫と確認された。日本文学の研究は飛躍的に向上し、計数百点の書物が国宝や重要文化財に指定された。だが、これですべてが公開されたわけではなく、保管規模は推し量りようもない。

 ところが、蔵の3棟が古くなって崩れ、プレハブ倉庫3棟を設けて収蔵品を移設。一昨年の台風でこの倉庫も屋根が飛び、貴重な資料が大量に雨にさらされてしまった。収蔵品はほかの蔵に分散させたが、未整理の資料も多く、それらを保管する蔵が必要となった。

万全の管理欠かせぬ和本

 日本の古典が書かれている和紙は、海外でも美術品や調度品の修復に用いられるほど高品質で耐久性にすぐれている。「西本願寺本三十六人集」などの平安時代の古典は、鮮やかな紙の装飾や生き生きとした墨跡をとどめている。

 ただ、自然の素材でつくられた和本は、万全の管理でないと虫に食われる被害に遭う。平安時代から鎌倉時代に製本によく用いられた糊は虫の大好物で、とじ目を食べられると本はすぐにバラバラになる。文字が書かれている部分を食べられ、読めなくなることも多い。

 水や火といった天敵もいる。ぬれた本は紙がくっつき著しく劣化する。炎の恐ろしさはいうまでもない。室町時代の公卿、三条西実隆(さねたか)らの文人政治家を生んだ三条西家の書庫「桃華坊文庫」が応仁の乱で焼かれ、何万もの書物が失われた。戦火が日本文学、日本文化に与えた影響はあまりに大きい。

 一方で、掛け軸に仕立てられて散り散りになることもあった。