五輪延期で追加費用は数千億円規模 コロナ対策でさらなる増額に駆け引き

 来夏の東京五輪・パラリンピックの焦点の一つは、延期に伴う追加負担を東京都や国、国際オリンピック委員会(IOC)などの関係機関がどのように分け合うかだ。追加経費は施設利用料延長や人件費の確保などで数千億円規模が想定されている。IOCや組織委はコスト削減を目指しているが、新型コロナウイルス対策費でさらなる上積みも予想される。概算は今年秋以降に示される予定で、負担割合をめぐるシビアな駆け引きが展開されそうだ。

 IOCなどは延期された大会について簡素化を目指している。一方で追加経費も試算。17日のIOC総会で大会組織委側から「秋以降に追加コストの全体像を示したい」と報告された。武藤敏郎事務総長はその後、「誰がどのような形で負担するかの議論が行われる」との見通しを示した。

 大会経費は総額1兆3500億円でこのうち大会組織委員会が6030億円、東京都が5970億円、残りの1500億円を国が負担することになっていた。追加費用は5千億~6千億円に膨らむとの見方が出ている。一つの原則として運営収支において組織委が赤字になれば都が穴埋めし、それができなければ、国が補填(ほてん)するという取り決めが交わされている。

 都幹部は「この原則が適用されるのは五輪が今年開催という前提。延期に伴い新たな契約を交わさなくてはならない」と説明する。都が多くの追加経費を負担しなくてはならないとの見方が支配的な中、都幹部が負担割合の交渉はゼロベースと指摘する背景には、財政調整基金を取り崩しながら、コロナ対策を行う都財政の苦境がにじんでいる。

 追加経費は細かい算定作業が必要になる。例えば競技場の警備費をとってみても、コロナ対策として観客が2メートル以上の間隔をとって入場するのであれば、「最寄り駅から会場までの列が想定より長くなってしまう」(関係者)。配置する警備員の増強も計算に入れなければならない。

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