お立ち台での第一声は「お待たせしました」だった。西武・与座が5回6安打2失点でプロ初白星。「『殻を破る』と思いながら投げていた。やっとだなという思いが強い」。3年目のアンダースローは粘りの投球をみせ、先発5試合目で勝利をつかんだ。
長い道のりだった。岐阜経大から2018年ドラフト5位で入団した1年目に右肘を手術。昨季は育成選手として過ごした。今季は練習試合で結果を残し、開幕ローテ入りを果たしたものの、勝ち星に恵まれなかった。
前回登板の12日のロッテ戦では、勝利投手の権利を得る五回2死までいったが、あと1人が打ち取れずに降板。「悔しくて忘れられなかった」。この日の五回、先頭打者を許し「前回が頭をよぎったが、ここを乗り切らないと今後はないと思った」。続く打者を二ゴロ併殺打に仕留め、最後は中飛で締めくくり、ガッツポーズを見せた。
もう1人にも「プロ初」があった。1点リードされた二回、川越が右翼席へ逆転2ラン。投手から野手へ転向して2年目の27歳が放った初本塁打は、チームを勝利に導く値千金の一撃となった。投打で新たな力が躍動してチームは再び貯金を蓄えた。(神田さやか)