五輪で世界の着物競演へ トリ飾る日本の着物は各国結ぶ「束ね熨斗」

KIMONOプロジェクトで制作した日本をモチーフにした着物(手前)=22日、福岡県久留米市(中村雅和撮影)
KIMONOプロジェクトで制作した日本をモチーフにした着物(手前)=22日、福岡県久留米市(中村雅和撮影)

 新型コロナウイルスの影響で来夏に延期された東京五輪・パラリンピック関連行事での「おもてなし」に活用しようと、福岡県の呉服店主らが世界の五輪出場国・地域をモチーフにした着物を制作する「KIMONOプロジェクト」で、最後の「日本」が22日に完成し、予定の213カ国・地域すべての着物がそろった。五輪開会式が開催予定だった24日午後8時からホームページ((https://www.piow.jp/))でオンラインお披露目会を行う。(中村雅和)

 このプロジェクトは平成26年、福岡県久留米市の呉服店「蝶屋(ちょうや)」の高倉慶応社長の呼びかけでスタート。全国の織物・染色職人が計200万円の予算で各国・地域の自然環境や文化施設などをモチーフにした着物と帯を制作した。

 最後に完成した日本の着物は京友禅の染元「千總(ちそう)」が、帯は西陣織の老舗、龍村美術織物が担当した。

 着物で日本の国柄を表現する際、デザインとして選んだのは富士山や伝統芸能などではなく、吉祥文様として礼装などで広く使われてきた「束ね熨斗(のし)」だ。高倉氏は「プロジェクトで制作するすべての国・地域のトリを飾る着物として、世界を結ぶ日本であってほしいという願いを込めた」と語る。

 一流の職人の細やかな仕事が施された着物はまさに芸術品だ。刺繍(ししゅう)もあえてミシンを使わず、一針一針、手縫いで仕上げるなど、こだわった。

 帯は、初代龍村平蔵の名作とされる円文白虎(えんもんびゃっこ)に用いられた技術をベースに、当代の4代目龍村平蔵氏が改良を加えた。経糸には金糸、銀糸に加え、白の絹糸の3種類を使い、さらに5色の箔(はく)で彩った。

 全制作費用の約4億円は全国の企業や企画に賛同した個人からの寄付でまかなった。平成30年1月には、九州経済連合会会長の麻生泰氏を会長とする「KIMONOプロジェクトを応援する会」が発足し、九州経済界が一丸となってバックアップしている。

 着物と帯は東京五輪を前に、多くの国際会議などで披露され、各国・地域の首脳らからも高い評価を受けている。

 駐日サンマリノ大使で、「駐日外交団長」を務めるマンリオ・カデロ氏は、初期段階からプロジェクトを支援してきた1人。カデロ氏はプロジェクトの成功と、五輪関連行事での採用に向けた各国大使への紹介や、大会組織委員会、日本オリンピック委員会(JOC)、東京都への働きかけなどを続けてきた。

 213カ国・地域の着物と帯の完成について、カデロ氏は「プロジェクトのすべての着物がそろったことは素晴らしい。来年の五輪で披露されることを切に願っております」とエールを送った。

 高倉氏は「これだけの作品がそろったのは胸を張っていい。世界は一つになれるというメッセージを着物を通じて訴えていきたい」と語った。

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