注目度急上昇ローカル5G 非接触で工場運営、学校も期待

 また、6月に大阪市内でローカル5Gの実証施設を開設した関西電力子会社のオプテージも、「施設見学やセミナー開催、ローカル5Gの接続実験などについて、製造業だけでなく交通や観光、不動産関連の企業など約40社から問い合わせが来ている」(広報)状況という。

機器、電波…環境整備進む

 ローカル5Gは、広範囲に膨大な数の基地局設置が必要な大手携帯電話会社が展開する5Gとは異なり、5G環境をつくりたい施設までは既存の光回線を使用したうえで、施設内などに設置した基地局から限定的に5Gの電波を飛ばす技術だ。環境整備が容易とされ、「工場が多い地方などでの活用が特に期待されている」(行政関係者)という。

 しかし、総務省が昨年末に施設ごとに取得できる免許の交付を開始したものの、商用での活用はまだほとんど行われていない。「ローカル5Gで使用する基地局に必要な機器の開発が追い付いていなかった」(NTT西の貝野氏)ことが大きな理由だ。また、国内でローカル5G用に割り当てられている電波の帯域は直進性が高く、建物の裏などに回り込みにくいため、「使いにくい」(通信事業者)といった側面もあった。

 しかし、機器開発は徐々に進んでおり、別の帯域の電波の割り当ても計画されるなど、普及に向けた環境は整いつつある。7月3日に大阪市内でローカル5G推進のためのフォーラムを開いた総務省近畿総合通信局の佐々木祐二局長は「ローカル5Gは企業の間でもまだ十分に認識されていない。情報発信をさらに強化していく」と強調した。

欧州リード、追うアジア勢

 ローカル5Gは産業目的だけでなく、学校などでの利用も期待されている。

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