メルケル独首相、米中対立の中で歴史的転換 EU復興基金

ドイツの財政均衡へのこだわりは、第一次大戦後の超インフレに根差す。通貨価値がほぼゼロになるという苦い歴史を経て、EU共同債は「債務国の放漫財政につながる」という嫌悪感が国民に浸透していた。

ドイツだけでなく現在のEUには、「コロナ時代」の国際情勢に強い不安が広がっている。トランプ大統領の米国と習近平国家主席の中国が激しく対立する中、EU各国には米国に頼らず、「欧州の団結」を求める底流があった。

EU内で、財政基盤の弱い南欧と、財政規律を求めるオランダや北欧の対立は今後も続く。だが、今回の首脳会議で27カ国首脳は、「合意見送り」に逃げなかった。米中対立の中での強い危機感が、妥協を成立させた。オランダのルッテ首相によると、2000年の南仏ニース会議に次いで長い首脳会議になった。

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