新型コロナウイルスによる国内の死者がクルーズ船を含め1千人に達した。医療態勢が最も逼迫(ひっぱく)していたとみられる4月下旬~5月上旬には1日20~30人の死者が出たが、今月は1日0~2人が続いていた。一方で全国的に感染が再拡大する中、重症者数も再び増加に転じている。年齢が上がるほど死亡率が高い傾向は変わらず、重症化リスクの高い高齢者の感染防止対策が求められる。
国内最初の死者は、2月13日に公表された神奈川県の80代女性。4月5日に累計104人と100人を超え、その後は二桁の日が続き、5月2日に過去最多の31人の死者が出て累計530人に達した。
緊急事態宣言が全面解除された5月25日の前後で比較すると、解除前の24日までに853人、解除後の25日以降に147人。感染の一時収束に伴って重症者数が減少し、死者数も抑えられたとみられる。
6月下旬からの感染再拡大後も感染者の大半が20~30代だったこともあり、重症者数は減少傾向が続き、7月10日には全国で31人(うち東京都5人)に減った。ただ、その後再び増加に転じ、19日には43人(同12人)となっている。
4~5月の感染拡大期の分析では、新規感染者の増加に伴い、2~4週間遅れで入院患者、重症者が増加してくる傾向がみられ、現状も予断を許さない。
厚生労働省によると、今月15日時点の年代別の死亡率は、60代4・7%、70代14・2%、80代以上28・3%と高齢者ほど高い。家庭内や病院、福祉施設などで高齢者に感染が広がるのを防ぎ、重症化させない医療態勢の構築が急がれる。