1日、ロシア憲法改正の是非を問う国民投票が行われた。即日開票され、約78%が改憲に賛成し、改正憲法が4日、発効した。旧憲法では1期6年の大統領任期を連続2期までに制限していた。改正憲法では、大統領任期を最大2期までに改めるとともに、旧憲法下での大統領経験者の任期数は算入しないという規定を設けた。
産経新聞の小野田雄一モスクワ支局長は、<仮にプーチン氏が2024年の大統領選に出馬して勝利すれば、36年まで最長2期12年にわたり再び大統領を務められる。プーチン氏は24年の出馬の可能性を否定しない一方、「まだ何も決めていない」と述べている。プーチン氏は続投の可能性を示唆することで、自身の影響力低下を回避するとともに、露政財界内に「ポスト・プーチン」を見据えた権力闘争が起きるのを未然に防ぐ思惑があるとみられる。露専門家内でも「プーチン氏は続投の可能性を残しつつ、後継者探しを進めていく」との見方が強い>(2日の産経ニュース)と書いているが、筆者も同じ認識だ。
現下ロシアの政治体制の特徴は、諜報機関、軍、軍産複合体、石油業界、ガス業界、金融資本家など、さまざまな利益集団がプーチン氏を独裁者とみなすことに利益を見いだしているところにある。後継者をめぐり利益集団間の抗争が顕在化すると、国家が大混乱を起こす。プーチン氏は大統領職に固執しているのではなく、次期大統領選挙の24年までに然(しか)るべき後継者が見いだせない場合に限って続投を考えているのだと思う。