【ワシントン=黒瀬悦成】11月の米大統領選で再選を目指す共和党のトランプ大統領(74)は11日、東部ニューハンプシャー州ポーツマスで大規模な選挙集会を開く。トランプ氏が新型コロナウイルス危機が起きる前と同様の選挙活動を積極的に展開していく意向を打ち出す一方、民主党候補指名を確実にしたバイデン前副大統領(77)は「ウイルス対策」を理由に屋外の集会を一切行わない「穴熊戦術」に徹すると表明。両者の対照的な手法が有権者の支持動向にどう反映されるか注目が集まっている。
トランプ氏の選挙集会は、新型コロナ危機で約3カ月半にわたり中断していた集会を6月下旬に南部オクラホマ州タルサで再開させて以降2回目。同氏はこの他にも今月3日に中西部サウスダコタ州での米独立記念日の花火大会に出席するなど、支持者に直接語りかけて支持率の浮揚を図りたい考えだ。
トランプ氏は4日にホワイトハウスで行った演説では、新型コロナ感染の「99%は完全に無害だ」と主張し、大きな危機は去ったとの見方を示した。
対するバイデン陣営はトランプ氏の「無害」発言を「大嘘だ」と批判。当のバイデン氏はウイルス対策として自宅地下室などからネットを通じた情報発信に徹し、トランプ陣営からは「引きこもりの『バンカー(えんたい壕)・バイデン』」のあだ名をつけられた。
バイデン氏の全米平均支持率(8日現在)は49・6%で、トランプ氏の40・9%を引き続き上回っている。
また、調査会社ユーガブが6月28~30日に実施した全米世論調査では、大統領候補が人前で選挙運動を実施すべきかについて、52%が「すべきでない」と答え、「すべき」の28%を上回った。
バイデン陣営は「今のままで支持率を維持できる」として、人前での集会を最大限回避していく方針だ。
一方で、バイデン陣営が集会に慎重なのは、失言癖に加え高齢による衰えが目立つバイデン氏が「ぼろを出す」のを避けるためとの見方も強まっている。
バイデン氏は6月30日、地元デラウェア州で一部の記者を集めて約3カ月ぶりに会見を開いたが、ときに発言が明瞭でなく、老いを隠せなかった。
調査会社ゾグビーが6月17日に公表した世論調査では、55%が「バイデン氏は初期の認知症だと思う」と回答。トランプ氏もたった3歳違いの高齢だが、表に出てこないバイデン氏を「健康問題」に結びつけて攻勢をかける構えだ。