川端康成の書簡見つかる 早世の文学青年思い、心温まる交流

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 ノーベル文学賞作家、川端康成(1899~1972年)が文学を志しながらも早世した青年の妹に宛てた書簡が見つかり、梅花女子大学非常勤講師の宮武慶之さん(37)が6日、報道関係者に公開した。宮武さんの祖母が兄の死を伝えたことに対する返信で、一般の読者に宛てた川端の書簡は珍しいという。

 書簡は昭和17~18年、和紙の便箋に毛筆で書かれた2通。

 1通目は宮武さんの祖母、萩子(はぎこ)さん(98)が川端に出した書簡の返信。萩子さんの兄、谷本寛(ゆたか)さん=筆名・知平=は留学先の中国で、日本人が手掛ける同人誌に投稿するなどしていたが、20代後半で亡くなった。川端は返信でその死を悼み、さらに兄の遺志を継ごうとした萩子さんに、「文学ハ極めて特殊な者の道ですからよく御考へ下さい」と諭している。

 2通目は、谷本さんの作品について「よい短篇です。惜しい事をしました。北京で生きてゐていただきたかつたと思います」と記載。さらに戦時下の状況を記し、「私共は念々刻々生きる限り立派に仕事してゐきたいものです」などとしている。

 川端は当時40代で、小説「雪国」などで知られた作家だった。

 宮武さんは「書簡には厳しさとともに慈愛が感じられる。一般読者を丁寧に導いておられたことが確認できる」と説明。奈良市の志賀直哉旧居で活動する団体「白樺(しらかば)サロンの会」発行の雑誌「りずむ」第9号に論考を掲載している。

 書簡について、川端康成学会特任理事の森本穫(おさむ)さんは「川端の温かな態度がよく出ている。無名の人に対する書簡として貴重だ」と話している。

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