ボルトン前米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)がトランプ政権の外交の内幕を暴露した著書は、米国の内外に波紋を広げた。米国内では、ボルトン氏の外交姿勢に反対してきたリベラル派や民主党の大統領候補指名を確実にしたバイデン前副大統領らが歓迎する一方、保守派を中心に大統領任期中の暴露本出版という慣例を破る行為に疑問の声が上がる。韓国では、史上初の米朝首脳会談の「仲介役」を自任する文在寅(ムン・ジェイン)政権に対し、批判が噴出している。
≪ポイント≫
・「反トランプ」の米リベラル派は歓迎
・大統領任期中の暴露には疑問の声も
・韓国・文政権は「事実を歪曲」と反発
・韓国紙の大半は米朝「仲介外交」を批判
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■米国 大統領任期中の出版に疑問
ボルトン前米大統領補佐官が出版した、トランプ政権の内幕を批判的に描いた著書をめぐっては、これまでボルトン氏の強硬な外交政策に批判的だったリベラル系のメディアや有識者の一部が「反トランプ」の立場から歓迎の意向を示す傾向が目立つ。一方で、元政権高官が直属の上司だった大統領の在任中に事実上の暴露本を出すという、従来の慣例を覆す行動に踏み切ったことに疑問を呈する声も上がっている。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(6月19日付)は「ジョン・ボルトンの告白-公職における名誉はどうなったのか」と題した社説を掲載し、著書の出版を否定的に論評した。
社説はボルトン氏について「米国の国益を守ってきた人物」と評価した上で、著書の記述に関し「正しいように思える。トランプ大統領が公の場で同様の発言をしているからだ。私たちが知る限り、ボルトン氏が嘘をついたことは一度もない」として、著書の内容はおおむね正確であるとの見方を示した。