正論8月号

政界なんだかなあ 朝日と拉致事件 産経新聞論説委員・政治部編集委員 阿比留瑠比

記者会見する(左から)横田拓也さん、早紀江さん、哲也さん=9日午後、東京都千代田区(宮崎瑞穂撮影)
記者会見する(左から)横田拓也さん、早紀江さん、哲也さん=9日午後、東京都千代田区(宮崎瑞穂撮影)

 ※この記事は、月刊「正論8月号」から転載しました。ご購入はこちらへ

 一読、白々しい気分となった。朝日新聞の六月七日付社説「横田滋さん死去、悲劇を繰り返させまい」のことである。そこには、こんなことが書いてあった。

 「北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの父、滋さんが老衰のため亡くなった。その無念さに誰もが胸を痛めている。この悲劇を繰り返してはならない」

 「一方で安倍(晋三)政権の側も、腰が定まっていない。『最大限の圧力』を唱えた後、米朝が接近すると、無条件の対話の呼びかけに転じる。そんな態度では北朝鮮を交渉に引き出せない」

 朝日は、何を偉そうに言っているのだろう。もともと北朝鮮に甘く、横田家をはじめ拉致被害者家族に冷淡で、安倍政権の拉致問題への取り組みに異を唱え続けて足を引っ張ってきたのはどこの新聞社だったか。

 そもそも、安倍政権は「最大限の圧力」を崩してはいない。むしろ米国と歩調を合わせ、連携して拉致問題解決を目指そうとしただけではないか。

 いかにも朝日らしい偽善的で欺瞞的な社説だと感じていたところ、めぐみさんの弟の哲也さんが二日後の六月九日の記者会見で、そんなメディアの在り方を鋭く批判した。

 哲也さんは「拉致問題が解決しないことに対し『安倍政権は何をやっているんだ』という発言をメディアで耳にする」と語り、こう訴えたのである。

 「安倍政権が問題なのではなく、四十年以上も何もしてこなかった政治家や『北朝鮮が拉致なんかしているはずがない』と言ってきたジャーナリストやメディアがあったから安倍首相、安倍政権が苦しんでいる」

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