阪大は、すでに発表されている英語論文で、阪大の英訳として《University of Osaka》が使われていることや、インターネット上の英語版百科事典の分析結果、留学生や留学希望者らへの緊急アンケート結果などを列挙。大阪公立大側が発表した論文が阪大の成果として認知される▽学会などで海外の研究者が会場を間違える▽留学生に混乱が生じる-などの可能性を指摘した。
一方、大阪府の吉村洋文知事は「全国で同じような事例はある。変えるつもりはないし、混乱は起きない」と一蹴。大阪市の松井一郎市長も「慣れてくれば間違えることなく認識いただけると思っている」と意に介さない姿勢をみせ、問題が解決する気配はない。
阪大は、海外の大学の事例を挙げながら、《University of ○○》と《○○ University》は同義だと主張するが、日本では今回のケースと同様に別々の大学がそれぞれ使用している例も。国立大と公立大では長崎、静岡、島根などが該当する。
ただ、同じように地名を冠した国立大、公立大では、公立大の名称に《prefectural(府県立)》や《metropolitan(都立)》などが含まれ、区別されることが多いのも事実だ。
海外の大学での勤務経験があり、留学生の受け入れにも携わる立命館大の庵逧(あんざこ)由香教授は「いずれの表現も同じ大学を指すと思われる可能性はある」と指摘。海外では英語で留学先を探す学生が増えているといい、「阪大は世界でも認知度が高いだけに、混乱が起きないか心配だ。大阪公立大は新たな大学であることを海外に向けてしっかり発信することが必要だろう」と話している。