政府は「選挙は民主主義の根幹をなす」(安倍晋三首相)として外出自粛の対象から除外したが、新潟青陵大の碓井真史教授(社会心理学)は「自らの一票が社会を変えるという投票行為に有能感が感じられなければ、感染リスクを冒してまで行かない。感覚的には不要不急に近かったのではないか」と分析する。
一方、宣言解除後に上昇した背景として、早稲田大の遠藤晶久准教授(投票行動論)は「生活スタイルが日常性を取り戻す中で、投票率低迷の一因である『誰が選ばれても同じ』という意識が変わった可能性がある。行政のコロナ対応をシビアに捉え、リーダーとなる人の資質を見極めようとするようになった」と有権者心理の変化を指摘する。
都知事選でも、テレビ会議アプリなどを取り入れた「オンライン選挙」の存在感が増している。異例の選挙戦となったことで、都議会関係者は「投票率は5割を切る」と予想する。
一方で「ネットでの訴えが浮動層に響き、投票に行ってもらえるかもしれない」(陣営関係者)と期待する声もあり、選挙戦終盤を迎える中で各陣営が票の掘り起こしを進めている。