「香港が香港でなくなる」現地育ちの日本人も絶望感

 SNSで香港の観光情報や治安情報を発信している女性のもとには、「香港の今を世界に知らせて」との連絡がくるという。「これまでできた発信もできない状態だ。自由が必ずしも正しいとは思わないが、今のままで良いはずがない。日本人にはどうか香港のことを忘れず、現状を知ってほしい」と訴える。

「投稿で政治犯にされるかも」

 一方、「一国二制度は死んだ」と話すのは、現地に住む香港人の女性(23)。昨年の大規模デモ以来、SNSで政府や警察を批判するような政治的な投稿も行ってきた。ただ、過去の投稿は削除するつもりだ。「ちょっとした投稿で政治犯にされるかと思うと本当に怖い」と話す。

 今年は新型コロナウイルスへの対応で政治の動きはないと思っていた矢先の同法の可決だった。「予想できたことだが展開が早過ぎる。中国政府は香港人の意見も聞かず、勝手に進めて不公平だ」と憤る。

 自身は1997年の香港返還の年に生まれた根っからの「香港人」。隣の中国に政治方針を決められたくないという。「今は不安や絶望感しかないが、まだあきらめたくない。自由のある香港に今後も住み続けたい」と話した。

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