学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐり、財務省近畿財務局と学園側の交渉記録が一時開示されず精神的苦痛を受けたとして、神戸学院大の上脇博(ひろ)之(し)教授が国に約1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、大阪地裁であり、松永栄治裁判長は国に33万円の支払いを命じた。
判決などによると、上脇教授は平成29年3月、近財局に交渉記録の情報公開を求めたが、開示は一部にとどまった。開示を求め提訴した後の30年5月、財務省が一転して217件の交渉記録を公表。このため同教授は賠償請求に切り替えていた。
判決理由で松永裁判長は、開示請求された交渉記録の存在を認識しながら、不存在を理由に開示を拒んだ近財局の対応を「明らかな違法行為。相当に悪質であるといわざるを得ない」などと厳しく指弾。また交渉記録を2年以上開示しなかったり、上脇教授の訴えについて「却下されるべき」だとの答弁を繰り返したりしたのは「甚だ不誠実」と批判した。
判決後、大阪市内で会見した上脇教授は判決を評価する一方、「誰が文書の隠蔽を命じたのかなど、具体的に明らかにする必要がある」などと述べ、控訴する方針を示した。
財務省は「判決内容を精査し対応について検討したい」とコメントした。