ボルトン本の中身は? トランプ外交の「実情」明かす

 ただ、ボルトン氏は「世界の指導者でトランプ氏と最も個人的な関係を築いているのは安倍首相だ」と指摘。両者の関係は「ゴルフ仲間であり仕事仲間だ」とし、安倍首相とジョンソン英首相はトランプ氏と親しい双璧であるとした。著書には安倍首相の名前が150回以上登場し、ボルトン氏と安倍首相も近い関係にあることをうかがわせた。

 トランプ氏が日米安全保障条約を「不公平」とする一方で、「米国は条約がなくても日本を守る」と述べたことも明らかにした。

 ボルトン氏は昨年7月の訪日時に、トランプ氏が在日米軍駐留経費の日本側負担として現在の4倍以上に当たる年間約80億ドル(約8550億円)を要求していると伝えたことも明かしている。日本政府は増額を要求された事実はないとして否定した。

 ■NATO脱退論

 18年7月、ブリュッセルでの北大西洋条約機構(NATO)首脳会議でトランプ氏は、加盟各国が翌年1月までに国防費を大幅に増額しないのであればNATOから脱退すると通告しようとしたという。

 トランプ氏は「米国は脱退し、(国防費を)支払わない国は守らない」と主張した。ボルトン氏はトランプ氏が通告に踏み切ることのないよう、押しとどめたとしている。

 一方、米朝首脳会談に関連し、トランプ氏は北朝鮮の望む米韓合同演習の中止を政権高官や韓国政府に相談せず決めたという。

 ■対露制裁に反対

 ボルトン氏はロシアのプーチン大統領について「賢くてタフだ。トランプ氏を簡単に手玉に取ることができる」と分析する。ボルトン氏によればトランプ氏は「ロシアの侵略行為を抑止し、プーチンの悪質な行為に制裁をかける政策に反対し続けてきた」とされる。

 トランプ氏は18年7月にフィンランドのヘルシンキで行われた米露首脳会談後の共同記者会見で、16年米大統領選にロシアが干渉したと米情報機関が結論付けたことに関し「プーチン氏はやっていないと言った。ロシアである理由が見当たらない」と述べた。トランプ氏の目の前で発言を聞いたボルトン氏は「凍り付き、椅子から立ち上がる気がしなかった」という。

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