著書では、ムニューシン財務長官を中国におもねる「パンダ・ハガー」と呼び、自由貿易論者のクドロー国家経済会議委員長とともに穏健派だと指摘。ロス商務長官やライトハイザー通商代表部(USTR)代表、ナバロ大統領補佐官(通商問題担当)ら対中強硬派との間で路線対立があったと示唆した。
19年9月に辞任したボルトン氏は同年12月に発表された米中合意が「見掛け倒し」の内容だったと貿易協議の結果にも懐疑的だ。
一方、対中交渉責任者のライトハイザー氏は17日、議会公聴会で、トランプ氏が再選を懇請したとのボルトン氏の記述について「絶対に真実ではない。私はその場にいた」と証言した。
■大統領の資質
ボルトン氏は、トランプ氏にとって唯一の目標は「確実に再選することだ。そのためには国益を脅かすこともためらわない」と指摘した。トランプ氏の「気まぐれ」な言動に困惑させられた政権高官らは全員、嫌気や失望で一度は辞任を考えるとしている。
大統領首席補佐官を務めたジョン・ケリー氏は在任中、「米中枢同時テロのような本当の危機が起き、トランプ氏が現在の調子で決定を下したら一体どうなるのだ」と述べたとされる。
トランプ氏は、ケリー氏に「フィンランドはロシアの一部なのか」と聞いたという。18年のメイ英首相(当時)との会談では、同席した英高官が英国が核保有国であると言及したのに対し、「英国は核保有国なのか」と聞き返したとし、ボルトン氏は「あれは冗談のつもりで言った口調ではなかった」と振り返った。
■安倍首相と個人的関係
安倍晋三首相との会談を前にしたトランプ氏へのブリーフィング。ボルトン氏が貿易と北朝鮮について説明しようとした際、貿易問題から切り出したところ、トランプ氏は(1941年の旧日本軍による)真珠湾攻撃への非難を始めた。ボルトン氏は「失敗だった」と述懐した。