「生きているだけでいい」 川崎市子ども夢パークに不登校の子ら集う

「川崎市子ども夢パーク」の西野博之さん。「コロナで『ステイホーム』と言われても、家にいたくない子どももいる」と話す=川崎市(萩原達也撮影)
「川崎市子ども夢パーク」の西野博之さん。「コロナで『ステイホーム』と言われても、家にいたくない子どももいる」と話す=川崎市(萩原達也撮影)

 土の山を崩し、どろんこになって遊ぶ。刃物を使って遊具を作ったり、たき火をしたり。JR南武線の津田山駅に近い「川崎市子ども夢パーク」には、一日平均二百数十人の子供が訪れる。「禁止事項なく遊べる場所です。何をやっても怒られないから、安心して失敗できる」。所長の西野博之さん(60)が笑う。

 約1万平方メートルの敷地の一角には「フリースペースえん」がある。ゲームに熱中する子がいれば、ギターを弾く若者もいる。学校に行かない児童生徒らが、思い思いの時間を過ごす。何もしなくても、かまわない。昼食は、みんなで料理する。

 ◆学びのきっかけ

 中学2年生の吉岡潤さん(13)=仮名=はスタッフと英語の勉強を始めた。小学3年生のとき、「疲れちゃって」不登校になった。今は毎日のように、えんに通う。

 「ここは自由。自分で決めて動ける」。英会話や科学、アフリカの太鼓など、さまざまな講座も開かれ、「学びのきっかけ」が多い。

 「学校だと『そういうの、あるんだ』で終わるけど、ここは体験できる。英語に触れたことがなかったから、興味を持った。勉強から離れていたんで、高校受験に向けて、やってみようかなって」

 えんに中学3年生のときから出入りする高野郁己さん(24)は「居心地がいいんですよ。素の自分を出せる」と言う。「小学生から大人まで、いろんな人がいるから楽しい。スタッフは学校の先生みたいに圧をかけず、聞けば答えてくれる」

 アルバイトをしながら今春、一度辞めた定時制高校に再入学した。えんで温かな人間関係を経験し、「介護とか保育とか、人に関わる仕事がしたい」と意欲を示す。

 ◆安心できる居場所

 西野さんは大学卒業後、学習塾やフリースクールで働いた。不登校が「甘え」と非難され、戸塚ヨットスクールのような矯正施設が各地にあった時代。追い詰められた子供と出会う。登校できず、「僕、もう大人になれない」と泣いた小学1年生の男の子。不登校のため、無理心中に巻き込まれそうになった中学2年生の女の子。

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