中国のコロナ初動に「怠慢」 緊急事態宣言時のWHO緊急委員が批判

中国のコロナ初動に「怠慢」 緊急事態宣言時のWHO緊急委員が批判
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 【ロンドン=板東和正】新型コロナウイルスの感染拡大で、世界保健機関(WHO)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言する判断に、WHO緊急委員会メンバーとして関わったジョン・マッケンジー氏が19日までに、電子メールなどによる産経新聞の取材に応じ、中国の初動対応について、約半月間に渡り新たな症例数をWHOに報告しなかったなどの問題点を挙げ、「怠慢」があったとの見解を示した。

 WHOのテドロス事務局長は中国の対応を評価するが、内部では疑問を抱かれていたことが明らかになった。マッケンジー氏は感染症の専門家で、オーストラリアのカーティン大学名誉教授。WHOが緊急事態の宣言を見送った1月22~23日と、宣言を行った同月30日の緊急委員会でメンバーを務めた。

 中国は昨年12月31日、湖北省武漢市で原因不明の肺炎が発生していることをWHOに報告・公表。マッケンジー氏は「迅速」と評価した。だが、翌日の今年1月1日に肺炎の症例数が報告された後、17日まで更新されなかったといい、「追加情報が出てこず、心配していた」と強調した。この間に新たな症例が出ていたことは現時点で確認できているとも加えた。

 マッケンジー氏は症例数の追加情報がなかったことについて、中国国内が「相当混乱していた」ことが要因と推察し「中国が隠蔽していたとは思わない」とした。だが「流行の初期段階は伝染状況の把握や診断薬の早期開発などのために非常に重要」で、「(当時)定期的にWHOに情報を報告しなかったのは中国の怠慢」と批判した。

 中国側が1月20日に明らかにした「人から人」の感染の確認については「かなり以前から比較的に明確になっていた」との見解を示し、「中国がそれまで『人から人』の感染を示す証拠はほとんどないと主張し続けたことに少し驚いた」と表明した。

 検査方法の開発などに役立つウイルスの遺伝子情報についても、中国側は1月12日にWHOに提供したが、マッケンジー氏は中国側がもっと迅速に対応できた可能性を指摘した。

 WHOに対して中国への配慮が過剰との批判が出ていることについて、「WHOはどのような方法であれ、最も効果的な方法で調査しようとしたのだと思う」とし、中国の協力を得るためだったとの見方を示唆し、WHOを擁護した。

 WHOの緊急委員会 感染症などの専門家で構成され、ウイルスの発生時に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言する必要があるかどうかをWHOの事務局長に助言する役割を持つ。事務局長は宣言を最終的に判断する権限がある。緊急委は最低3カ月ごとに招集される仕組みで、感染症対策や緊急事態宣言の解除時期についても議論する。