新幹線殺傷2年 「あんな優しい子がなぜ」小島受刑者の祖母吐露 神奈川

 東海道新幹線の車内で乗客3人が殺傷された事件は今月で発生から2年が経過した。小島一朗受刑者(24)=殺人罪などで無期懲役確定=の祖母(83)は4月、事件後初めて孫と面会した。「取り返しのつかないことで許されるはずがない」と話す一方、「あんなに優しい子がなんで…」。揺れ動く思いを抱え続けている。

 小島受刑者は、愛知県で生まれ、中学まで両親らと暮らしたが、いじめが原因で不登校になり、家族との関係も悪化。幼い頃からかわいがっていた同県岡崎市の祖母が引き取り、平成29年9月に養子縁組をした。

 ◆手のぬくもり今も

 同居していた親族との口論や家出を繰り返し、同12月、「旅に出たい」と家出し、孫との暮らしは終わりを迎えた。「お金に困らなければ、悪いこともせず帰ってきてくれるはず」。祖母は年金の入ったキャッシュカードを渡した。半年後、事件は起きた。

 散歩では「転んだらいけないから」と手を取り、「段差があるよ」と教えてくれた。「あの子の手のぬくもりが今も残っている。あんなに優しい子がなんで…」。答えの出ない問いが、頭の中をめぐる。

 横浜地裁小田原支部で行われた公判で検察側は、家出中に祖母から「帰ってきてくれないのは、長い夢を見ているのかね。いない存在だと思えばいいのかね」との電話があり、養子縁組を解消されると誤解したことが犯行のきっかけと指摘した。しかし、祖母は「養子縁組解消なんて、かわいい孫に口が裂けても言うわけない」と否定。「おばあちゃんのせいにしたら他人に迷惑がかからないと思い、私に甘えたんじゃないか」と推し量る。

 ◆10回近く拒否され

 「子供の頃から刑務所に入るのが夢だった」「無期懲役になれば二度と出てこられないように努力する」。公判でそう述べた小島受刑者。望み通りの判決を言い渡されると、万歳三唱をした。

 今年4月、刑務所で、事件後初めて孫と面会した。これまで10回近く足を運んだが、いずれも拒否された。その理由を聞くと「余計なことを話して無期懲役じゃなくなると困るから」。被害者に謝罪しない理由は「謝ると有期刑になるかもしれないから」と話した。

 「本当に取り返しがつかない」。孫に代わり、何度も繰り返す祖母。しかし、社会から孤立を感じ、犯行に及んだ孫を思わない日は一日もない。「あの子を思う気持ちと、被害者への申し訳ない気持ち。これからもその間で生きていかなくてはいけない」とつぶやいた。

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【用語解説】新幹線殺傷事件

 平成30年6月9日午後9時45分ごろ、東京発新大阪行きの東海道新幹線が新横浜-小田原間を走行中、小島一朗受刑者(24)が、なたで乗客を襲撃。両隣の女性2人を負傷させ、止めに入った兵庫県尼崎市の会社員、梅田耕太郎さん=当時(38)=を殺害した。県警に現行犯逮捕され、鑑定留置を経て起訴。令和元年12月に横浜地裁小田原支部で、求刑通り無期懲役の判決が言い渡され、今年1月に確定した。

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