屋根の上でBBQ 苦境の観光船、「3密」回避し営業再開

屋根の上でキャンプのように食事を楽しめる屋形船「メリーグリーン」=大阪市(黒川信雄撮影)
屋根の上でキャンプのように食事を楽しめる屋形船「メリーグリーン」=大阪市(黒川信雄撮影)

 東京都内の屋形船や横浜港に接岸したクルーズ船で相次ぎ新型コロナウイルスの集団感染が発覚したことで、客足が激減し休業状態に陥っていた観光船業界が相次ぎ事業を再開させている。各社は船内の消毒や換気、乗客の検温などを徹底し安全性をアピールしているほか、屋外レストランのように屋形船の屋根の上で食事できるサービスを前面に打ち出す会社もある。インバウンド(訪日外国人客)が激減するなか、各社は国内客の需要を掘り起こすことで経営を軌道に乗せたい考えだ。

(黒川信雄)

屋根の上で食事

 「私たちの船は屋外にいるように食事を楽しめる。安心して乗船してほしい」

 大阪市内の河川で屋形船「メリーグリーン」を運営する「One Osaka リバークルーズ」(大阪市)の堀感治社長は船の安全性をこう強調する。

 同社の船は客船内部のほか、屋根の上でもキャンプのようにバーベキューなどの食事を楽しめるのが特徴だ。新型コロナを機に、乗客の検温や手指消毒、スタッフによる食事の取り分けなどの施策も導入した。

 都内の屋形船で新型コロナの集団感染が発生したことを報じられて以降、メリーグリーンは予約がほぼゼロになった。5月21日に大阪府などの緊急事態宣言が解除され、6月後半ごろからの予約がようやく入り始めているという。

乗客交代時に消毒

 6月6日には京阪グループの大阪水上バス(同)が、市内の河川を運航する「アクアライナー」を約2カ月ぶり、大阪港を周遊する「サンタマリア」を約3カ月ぶりに再開させた。アクアライナーは、乗客の検温や指定席の間隔を空けたほか、乗客交代時に船内を消毒するなどの措置を取っている。

 アクアライナーは土曜と日曜だった6、7の2日間で約100人が乗船し、市内観光を楽しんだ。ただ例年は、この時期の週末は土日合わせて2千人程度が乗船するといい、本格的な回復はまだ見えていない。

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