たばこと健康

予防できる呼吸器疾患「COPD」

 「COPD」。一度は耳にした方も多いと思う。「慢性閉塞(へいそく)性肺疾患」の略語で、慢性的な呼吸器の病気である。呼吸機能低下が進行し、治ることのない病気である。全国のCOPD患者数は男性18万3千人、女性7万9千人、死亡者数は男性1万2千人、女性も3千人を超える。患者数、死亡者数、死亡率のいずれも、男性が女性より高い値を示している。潜在的患者数は、およそ530万人ともいわれ、統計上の数の20倍の患者がいるものと推定されている。

 COPDの主たる原因は喫煙といわれており、まさに生活習慣病である。成人の喫煙率は男性29・4%、女性7・2%(平成29年厚生労働省データ)で、男性の喫煙率が高く喫煙本数も多いことが患者数や死亡率の男女の違いに影響しているものと思われる。群馬県の人口10万人当たりのCOPDによる死亡者数は全国と比較すると、男女とも、およそ1・3倍あり、都道府県順位は10位である。群馬県の喫煙率の高さがその背景にあると考える。

 COPDを発症すると、血液中の酸素不足から身体を動かす際に息切れを感じるなど運動機能や身体の活動性が衰え、生活の質(QOL)が全般的に悪化する。さらに症状が進行すると、在宅酸素療法や小型人工呼吸器の装着なども行われる。平成29年の統計によると、COPDの治療に全国で1447億円が費やされた。年代別にみると75歳以上が970億円、70~74歳が198億円、65~69歳が139億円であり、年齢層が高くなるほど、多額の治療費が必要となっている。

 今、われわれは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に向き合い、その対策に国民が一丸となって立ち向かっている。緊急事態宣言は解除されたが、6月14日までのCOVID-19の患者数は全国で1万7529人、死亡者数は927人にも及ぶ。群馬県でも151人が罹り、19人が亡くなった。一方、COPDの患者数・死者数はいずれも、その15倍前後あり、群馬県だけでも毎年3百人を超える人がCOPDで亡くなっていると推定される。

 しかし、COPDには確かな予防法がある。すなわち、たばこを吸わなければCOPDは予防できるということである。喫煙者はCOPDを発症していなくても呼吸機能はダメージを受けており、呼吸器感染症の重症化リスクは大きくなる。この先、新型コロナ感染症の第2波、第3波の流行も予想されている。健やかな老後の実現と、呼吸器疾患の重症化リスクを下げるためにも、即座の禁煙を呼び掛けたい。

 なお、群馬県禁煙支援県民公開講座実行委員会では毎年5月31日の国際禁煙デーに合わせて、禁煙イベントを実施してきたが、今年は健康川柳の募集を行うこととなった。応募先は県健康福祉部保健予防課健康づくり推進室。詳細は、募集チラシあるいは県のホームページを参照いただきたい。募集期間は8月31日まで。

(高崎健康福祉大教授 東福寺幾夫)