野球がぜんぶ教えてくれた 田尾安志

教えるのは技術だけではない

キャンプ時の阪神・藤浪晋太郎。復活はいつか(撮影・山田喜貴)
キャンプ時の阪神・藤浪晋太郎。復活はいつか(撮影・山田喜貴)

 新型コロナウイルスに感染し、1カ月以上も入院していた梨田昌孝氏が回復した。昭和28年度生まれの球界の仲間で結成した「プロ野球28会」のメンバー。心配したが、よく戻ってきてくれた。また得意のダジャレを聞かせてほしい。

 対照的に、阪神の藤浪晋太郎投手には、がっかりさせられた。コロナが癒えてチームに合流していたが、紅白戦前の練習に遅刻。矢野燿大監督は2軍行きを命じた。藤浪は謝罪会見で「感染で迷惑をかけた分はプレーで挽回する」と決意表明したばかり。印象は良くない。復活を期待し、応援し続けてきたファンも失望したのではないか。

 真摯に野球に取り組むなら、チームの練習が始まる1時間ぐらい前には球場に到着し、個別のトレーニングを行うぐらいの心がけがあってもいい。遅刻するのは、姿勢が甘いと言わざるを得ない。6日には2軍の練習試合に登板し、右胸を痛めた。心配していたことが、現実になった。急に体をつくると無理が生じ、故障しやすくなるものだ。

 僕も現役時代に苦い経験がある。春季キャンプを1週間後に控えた1985年1月24日、中日から西武へトレードされた。そこから送別会続き。練習量が足りない状態で、新天地でのキャンプ初日を迎えた。当時の西武は広岡達朗監督の方針もあり、選手は十分に体を仕上げていた。外野ノックでの本塁への送球を見ても、完璧に体ができている。焦った僕は調整を急いだのが災いし、左肘を故障した。それが、シーズンの不調にもつながった。

 「流れが良くないな」と思うときは、誰にもあるもの。大事なのは、どうするか。たとえば、藤浪は毎日早めに球場に行き、掃除でもしたらいい。これまでと違う行動をすることは、変われるきっかけになる。