東京五輪・パラリンピック組織委員会は10日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕が1年延期された大会の準備に関するロードマップ(行程表)をまとめ、公表した。今年6月末までに会場や日程といった大会の骨格を固め、年内は大会の簡素化に向けた計画見直しを推進。新型コロナ対策は今秋以降に状況を踏まえて詳細な検討を行う。
準備にあたっては▽選手らへの安全・安心な環境の提供を最優先▽延期に伴う費用を最小化し、都民や国民の理解を得る▽持続可能な大会とするため簡素な大会とする-を3つの基本原則に設定。簡素化に向け、選手や観客を除く大会関係者の削減要請や関連イベントの再検討などを挙げた。
また「コロナは世界を変え、物事の優先順位も変わった」とし、来年の大会を「過去に例をみない団結と共生の祭典になる」「世界に復活・復興の証しを示すものとなる」「人類の希望、くじけぬ力、そして一つになって取り組む力の象徴となる」と新たに位置付けた。
組織委は同日オンライン形式で開かれた国際オリンピック委員会(IOC)理事会で検討状況を報告した。コロナ禍収束の見通しが立たず、大会開催を不安視する声もあるが、終了後、東京都内で記者会見した森喜朗会長は「仮定のシナリオについて憶測し、論じるのは時期尚早。状況を注視し、必要に応じIOCなど関係者とよく相談したい」と述べるにとどめた。