【香港=藤本欣也】香港で大規模デモが起きてから1年を迎えた9日、林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官は記者会見で、デモや新型コロナウイルスの影響で経済が大きな打撃を受けたとして、「香港はもう混乱に耐えられない。政府や議員、そして市民一人一人が教訓をくみ取らなければならない」と述べ、抗議活動の停止を求めた。
しかし、香港中心部では同日夜、若者ら数百人が道路を一時占拠し、市民の基本的人権に制限を加える「国家安全法」の香港導入などに反対。警官隊が催涙スプレーなどで排除した。
また、国家安全法に反対するため、一部の労働組合や中高校生の団体も、ストライキや授業ボイコットを計画中で、混乱収拾のめどは立っていない。
公務員や医療・交通・建設業界などの従事者が参加する23の新興労組は14日に投票を実施し、ストに突入するか否かを決定する。
香港では昨年6月9日、「逃亡犯条例」改正案への反対デモが起き、主催者発表で103万人が参加した。政府は9月に改正案の完全撤回を表明したが、反政府・反中デモはその後も続いた。
香港メディアによると、デモから1年となった9日、少なくとも4カ所のショッピングモールに数十人から数百人の若者らが集まり、国家安全法などに反対する抗議活動を行った。
香港警察などによると、昨年6月9日以降の抗議活動で、8986人が逮捕され、1754人が暴動罪などで起訴された。逮捕者の4割を学生が占める。4回逮捕された12歳の男子小学生や、9回逮捕された17歳の男子学生がいるという。