新型コロナウイルスの感染拡大で長期休校していた多くの学校が再開して8日で1週間。感染防止の対策を取りながらの登校が続く中、感染拡大の第2波を見据えた備えとして、オンライン授業の準備が急ピッチで進む。ただ、各家庭で通信環境がまちまちだったり、教員のICT(情報通信技術)スキルに差があったりするなど課題は多い。関係者は「新しい学習様式」への対応に追われている。(木ノ下めぐみ)
「再び休校」で実施
8日、大阪府立学校では分散登校をしつつも授業時間数を増やす段階に入った。休校継続(第1段階)、分散・短縮での学校再開(第2段階)に次ぐ第3段階で、15日からは本格的な学校再開(第4段階)に移る予定だ。
こうした動きと並行して進めているのが、オンライン授業の導入に向けた環境整備。府教育庁は今月末までに、一部を除く府立学校159校でオンライン授業ができるようにするとしている。
オンライン授業をめぐっては、文部科学省が、特定警戒都道府県に指定された13の対象地域で、全小中学生がオンライン学習を受けられる環境づくりを8月までに進めるとしており、複数の自治体で学習環境を整える動きが広がっている。
大阪府の場合、再び1週間以上の休校措置を取る場合に実施。国語や数学、英語などの主要科目だけでなく、体育や音楽といった実技も含めて原則全教科で行う。
授業1カ月で20ギガ
オンライン授業を導入するにあたり、最大の課題は「生徒それぞれの通信環境や使用端末が異なること」(府教育庁の担当者)。例えば府教育庁ではオンライン授業に必要なデータ通信量を1カ月当たり20ギガバイト程度と想定しており、一定量のデータ通信が可能になるような対応が必要だ。
各家庭の通信環境を把握するために府教育庁は5月中旬、159校の生徒を対象にアンケートを実施。回答した10万2048人のうち、パソコンやタブレット、スマートフォンで無制限に動画を視聴できる環境がある生徒は6万1418人(60・2%)だった一方、自分のスマホがなく通信環境も整っていない生徒は784人(0・8%)だった。
府教育庁は、通信環境が整わない生徒にパソコンやタブレット、モバイルルーターを通信料込みで無償貸与することを決定。スマホはあるもののデータ通信量に制限がある生徒も一定数いることから、通信料の支援も検討している。
ソフト面充実も
オンライン授業の実施には、機器だけではなく、それらを円滑に運用する環境整備が不可欠だ。