在宅勤務が続いている人も少なからずいるなか、自宅で使うコンピューターのセキュリティは重要な課題になる。こうしたなか導入をお勧めしたいのが、パスワード管理ツールだ。
TEXT BY ALAN HENRY
TRANSLATION BY MITSUKO SAEKI
WIRED(US)
ご多分に漏れず、あなたもコンピューターの前で過ごす時間が以前より増えているに違いない。デジタルにまつわるToDoリストならもう増やしたくないとお考えだろうが、ささやかな提案をさせてほしい。パスワード管理ツールのアプリを使おう。始めるなら、いまが絶好のタイミングなのだ。
理由はこうである。ユーザーのオンライン滞在時間が長くなるほど、パスワード管理ツールの使い勝手はよくなる。お気に入りのアプリやウェブサイトにログインすると、パスワードをデータベースに保存したいか尋ねてくれるので、自分で覚えておく必要がなくなる。次からは手で入力する手間さえ不要になるのだ。
それにいま、わたしたちはかつてないほど頻繁にコンピューターを使っている。仕事用のほか家族や友人との連絡用、そしてゲームで遊んだり、自主隔離やステイホーム実践中の暇つぶしの道具としても使っている。
複雑なパスワードでもまとめて記録
そもそもパスワード管理ツールとは何なのか。なぜ必要なのだろうか?
パスワード管理ツールの仕事は、ウェブ上で使用するあらゆるパスワードを記録することだ。メールの送受信、オンラインショッピング、銀行の手続きや請求書の支払いなどに必要なすべてのパスワードを記録してくれるので、自分で覚える必要はなくなる。
複数のサイトで使い回しているパスワードや、脆弱で破られやすいパスワードを見つけて教えてくれる優秀なツールもある。よく使うサイトに不正侵入された場合に通知してくれるものもあり、それを使えばすぐにパスワードを変更してアカウントを保護できる。
「実際のところ、正しいパスワードの設定ルールに従っている人はほとんどいません。パスワード管理ツールの助けを借りずにルールを守るのは至難の業だからです」と、カーネギーメロン大学CyLabセキュリティ&プライバシー研究所所長のロリー・クレイナーは言う。「たいていの人は同じパスワードを複数のアカウントに使い回すことでやり過ごしています。でも、アカウントのうちひとつでもパスワードが破られたら大変なことになるでしょう。侵入者はほかのすべてのアカウントでそのパスワードを試すに違いないからです」
管理ツールの導入コストには意味がある
現在のパスワードがどれも脆弱である場合、遅かれ早かれそのうちのどれかが破られると彼女は言う。複数のサイトで同じパスワードを使っているとしたら、自分の個人情報をますます危険に晒していることになる。
「管理ツールを使ってすべてのアカウントにランダムなパスワードを設定すれば、パスワードを盗まれる可能性は一気に減るはずです。万が一盗まれたとしても、被害をひとつのアカウントに抑えることができますから」と、クレイナーは言う。