武田薬品工業の元常務で大学などの知財戦略を支援する「知的財産戦略ネットワーク」(東京)の秋元浩社長は「当初の協議の場で分配金の割合を明文化したり、弁護士や弁理士といった第三者を同席させるべきだった」と前置きし「メルクから得られるライセンス料は裁判費用を差し引くと、研究開発費用などがかからない、いわば『不労所得』。本庶氏は特許侵害訴訟にも協力しており、相応の利益が支払われる必要がある」と話す。
早稲田大学大学院の森康晃教授(知財マネジメント)は、医薬・バイオ分野での産学連携について「薬事申請にはノウハウや大変な労力が必要で、実績のある製薬会社が主導しなければならない」とし「大学側が企業とライセンス契約を締結する際には、初期の段階から産学連携の担当部署が契約内容を詰めておくべきだ」と指摘する。