世界の論点

蔡政権の2期目始動 台湾「対米関係深め立場改善を」 中国「軍事威嚇 米は抵抗できず」

社説は蔡氏が中台関係の現状維持を強調し、中国に「対話」を呼び掛けていることには一切触れず、蔡政権が「台湾独立」をたくらんでいるとして一方的に非難した。中国当局にとって「一つの中国」原則を認めない蔡政権は対話の対象にはなり得ず、対中圧力を強める米国の「手先」としか認識していない現状が改めて浮かび上がる。

また社説は、台湾が米国の持ち駒となることで、その力を借りて大陸(中国)との「全面的な切り離し」を実現し、さらに「あたかも欧州の北大西洋条約機構(NATO)の一員のように永久に安全を得られると考えている」と断じ、そうした期待は「戦略的な判断ミスだ」と主張した。

米中関係での台湾を、「2頭の巨象の戦いにおけるネズミのような存在だ」とする社説の侮蔑的な表現は、新型コロナウイルスの感染対策に成功して世界的な名声を高め、米国との連携を強化して政権を安定化させている蔡氏への焦りの裏返しといえそうだ。

社説は露骨な軍事的威嚇も辞さない。台湾への武力行使に法的根拠を与えている中国の「反国家分裂法」について、蔡氏の民主進歩党は「よく学習すべきだ」と挑発する。「大陸(中国)側が軍事手段によって問題を解決しようと決心すれば、米国は全く抵抗できない。今後ますます、米軍は遠くから空砲を撃つだけになる」と勇ましい。もっとも台湾侵攻を米国が座視するという見通しは、中国にとっては楽観的過ぎる。

中国政府系英字紙チャイナ・デーリーは21日付の社説で、ポンペオ米国務長官が蔡氏にメッセージを送ったことについて「米政権は中国に最大限の圧力をかける戦略の中で、蔡氏を持ち駒として確保しておく意図をあらわにした」と批判。蔡氏が香港の混乱を理由に、中国の習近平国家主席が台湾に迫った「一国二制度」は実現不可能だと主張していることに対し、「これは米政権が香港に混乱を引き起こそうとした結果だ」と反論した。(北京 西見由章)

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