「京都の美術」常設ルームも 京セラ美術館が新装オープン

帝冠様式の外観はそのままに、地下にエントランスを設けた京都市京セラ美術館(黒沢綾子撮影)
帝冠様式の外観はそのままに、地下にエントランスを設けた京都市京セラ美術館(黒沢綾子撮影)

 京都市京セラ美術館(同市左京区)が26日、当初予定よりも2カ月遅れでリニューアルオープンした。大規模改修・増築を経て3月に開館する予定だったが、新型コロナウイルスの感染防止対策で大幅に延期されていた。館内の密集を避けるため、ひとまず6月7日までは観覧を京都府在住者に限定した事前予約制とし、様子を見るという。

 同美術館は昭和8年、昭和天皇即位の奉祝記念で「大礼記念京都美術館」として誕生。和洋の意匠を組み合わせた風格ある本館は、現存最古の公立美術館建築であり、改修を終えた今春、国の登録有形文化財に答申された。

 リニューアルでは、老朽化した本館を修復しつつ、現代アートにも対応できる新館「東山キューブ」などを増設。何より、慣れ親しんだ「京都市美術館」が変わったと感じたのは、エントランスが地下になったこと。歴史的建築の外観はそのままに、地下にガラスのファサードをつくり、明るく一新された。工事費111億円に対し、ネーミングライツ契約した京セラ(京都市)から総額55億円の支援を受けたという。

 こけら落としは、京都の美の系譜をたどる「最初の一歩 コレクションの原点」(9月6日まで)と、世界的な美術家、杉本博司の個展「瑠璃の浄土」(10月4日まで)。いずれも見ごたえのある展示だが、まずは新設の「コレクションルーム」を紹介したい。というのも、同館では80年以上にわたり収集が行われ、絵画や彫刻、工芸、書など3700点以上を所蔵しているにもかかわらず、常設展示室がなかったからだ。つまり、コレクションという顔が見えにくい美術館だった。

 同館所蔵品の中核を成すのは近代日本画、特に京都画壇の作品群だ。作家本人や遺族、収集家からの寄贈が多く、やや受け身的に集めた面もあるようだが、リニューアルを機に「京都における近代以降の美術を展望できる総合的コレクション」と個性を明確にした。

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