JR日田彦山線復旧で福岡・東峰村長、BRTを容認 住民報告会、鉄道断念「断腸の思い」

JR日田彦山線の復旧についてBRT容認を表明する福岡県東峰村の渋谷博昭村長(右)
JR日田彦山線の復旧についてBRT容認を表明する福岡県東峰村の渋谷博昭村長(右)

 平成29年7月の九州北部豪雨で被災し、福岡、大分両県にまたがる一部区間が不通になっているJR日田彦山線の復旧をめぐり、福岡県東峰村の渋谷博昭村長は26日の住民報告会で、鉄道での復旧を断念し、JR九州が提案していたバス高速輸送システム(BRT)への転換を受け入れる県の意向を容認する方針を表明した。これまで一貫して鉄道での復旧を求めてきた東峰村がBRTを容認する姿勢を示したことで被災から3年を前に、復旧協議が決着する見通しとなった。(九州総局 小沢慶太)

 渋谷氏は、住民報告会で「現実的に鉄道復旧は不可能と判断し、断腸の思いで知事の提案を受け入れる決断をした」と説明した。これに対し、村民からは「大変残念だ」などと失望の声が上がった。

 渋谷氏は住民報告会に先立ち、非公開で開かれた村議会全員協議会の後、「住民に私の思いを伝えて理解を得る」と話した。一方で「鉄道での復旧を求めてきたため、知事の『鉄道復旧断念』の言葉には心の整理がつきづらい」とも語った。村議からは県の提案に関し「現状を考えると仕方がない」との意見が出たという。

 日田彦山線は添田(福岡県添田町)-夜明(大分県日田市)の29・2キロが不通となっている。JR九州はそのうち彦山(添田町)と隣駅の筑前岩屋(東峰村)の間の7・9キロをBRT専用道とすることを提案。 小川洋知事は24日、村内で住民説明会を開き、鉄道復旧を断念する一方、専用道を彦山-宝珠山(同村)の14・1キロに延ばす案を示した。

 小川氏は当初、今年3月末までに復旧方式を決めるとしていた。しかし、福岡県議らから「地元の理解が不十分」と批判を浴び、新型コロナウイルスの感染拡大によって沿線住民への説明が十分にできないとして方式の決定を先送りしていた。県は渋谷氏がBRTへの転換を容認したことを受け、JR九州と専用道の延伸について協議する。

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