新型コロナウイルスの治療薬候補として期待される新型インフルエンザ治療薬「アビガン」の実用性を検証している藤田医科大は26日、全国の症例を分析した結果、新たな副作用は確認されなかったとする中間結果を公表した。有効性は現時点で判断できないとしている。
同大によると、国内でアビガンを投与した患者2158人の経過を分析。一部の患者に尿酸値の上昇や肝機能の変化などが起きたが、いずれも既に知られた副作用だった。新型コロナの治療では多めに投与するが、安全性に新たな問題は生じなかった形だ。
有効性については、軽症患者は投与の7日後に約74%、14日後に約88%が改善。重症患者は7日後に約40%、14日後に約60%が改善した。
効果があるようにも見えるが、同程度の症状を示す患者同士で投与の有無による経過を比べるといった厳密な検証を経ておらず、評価できないとした。土井洋平教授は「大多数の患者は数週間の経過で自然に改善する。評価には比較が必要だ」と指摘した。