無論、少ない検査数では感染が原因の死亡例も過少に算出される可能性があるが、FPは「(感染死者数が誤って算入され)肺炎など他の類似疾病の死者数が急増しているわけでもない」として、死者数の信憑(しんぴょう)性を強調した。
日本の死者が少ない理由としてFPは、他人を思いやる気持ちが強い文化▽握手をしない風土▽衛生意識の高さ-などを挙げたが、これだけでは「数的に説明がつかない」と分析。「単なる幸運なのか、政策が良いからなのか、見極めるのは難しい」とやや皮肉交じりに結論付けた。
感染者を出したクルーズ船が横浜港に停泊し、乗客乗員の2週間船内隔離が行われた際には「隔離は疫学的悪夢であり、過去に例を見ない失敗」(2月17日付米紙ニューヨーク・タイムズ)と酷評され、ウイルス検査の少なさについても「日本は本来あるべき数から、0が1つ足りない(桁違いに少ない)」(4月30日の英BBC放送)と指弾されるなど、海外からの日本批判が続出していたが、今や潮目が変わったようだ。
医療従事者の献身的奉仕が「奇跡」の一端を支えているのは明白であるが、一方で、日本人も気づいていない隠れた理由があるのかもしれない。最近、日本、韓国、インドなど結核予防ワクチン、BCGの接種義務がある国の死亡率が、接種習慣のない欧米諸国と比べて際立って低いことが注目されているが、因果関係は不明だ。(佐渡勝美)
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■香港 称賛すべき規範意識の高さ
新型コロナの感染で目立つのは、アジア以外での急拡大だ。米ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると、世界の感染者数は最多の米国をはじめ欧州や南米の国が上位を占め、当初爆発的に感染が拡大した中国は10位にも入っていない。香港のオンラインメディア、アジアタイムズは15~16日、「なぜ東アジアはコロナ対策で欧米に打ち勝ったのか」という記事を掲載した。