100年の森 明治神宮物語

記憶(4)日本と台湾を結ぶ大鳥居

【100年の森 明治神宮物語】記憶(4)日本と台湾を結ぶ大鳥居
【100年の森 明治神宮物語】記憶(4)日本と台湾を結ぶ大鳥居
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 明治神宮(東京・代々木)から約30キロ離れた、さいたま市大宮区の武蔵一宮氷川神社参道入り口に、朱色の大鳥居が建っている。

 この鳥居は、元は明治神宮の大鳥居(第二鳥居)だった。大正9年の創建時に完成し、多くの参拝者を迎えてきたが、昭和41年に落雷により北側の柱が破損。新しい鳥居が奉納された翌年の51年、氷川神社に寄贈された。明治神宮では白木だったが、氷川神社では他の鳥居に合わせて朱色に塗られている。

 この氷川神社は、明治天皇が東京に入って2週間後に行幸されるなど、皇室と縁が深いことで知られている。また、引っ越してきた鳥居とともに生まれた縁もある。「台湾の方がみえて、『これが台湾のヒノキでできた鳥居ですか』と喜んでいかれるんです。寄贈していただいてよかったと思っています」。そう話すのは権禰宜(ごんねぎ)の遠藤胤也さん(59)だ。

丹大山の巨大ヒノキ

 明治神宮の8つの鳥居は、創建時はすべて台湾ヒノキを用いていた。

 「用材は総数三十八本、材積尺締千三百八十四本、総(すべ)て台湾総督府の進献にして、其最も長大なるものは長さ五十五尺(約17メートル)、直径六尺六寸(約2メートル)、樹齢一千二百八十四年に達し(中略)、新高山の西腹より伐採せしと云ふ」(「明治神宮造営誌」)

 本殿に近い第三鳥居の建て替えなどを手がけた清水建設の社寺・文化財担当、小橋孝吉さん(70)は「当時の日本にも直径1メートルを超えるヒノキがあったかもしれないが、台湾ヒノキは地上1500メートルの高山にあるため寒さで年輪の成長が遅く、強度が高い。雨や霧が多く菌類が木を攻めるため、木は自分を守るために油分を蓄えて成長し、そのため耐久性も高い」と説明する。

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