一筆多論

ロシア屋の喫煙所復活論 遠藤良介

たばこの歴史は古く、もともと米先住民が用いていたものだ。15世紀末、コロンブスの航海が米大陸に達したのを機に世界へ広がった。日本に入ってからでも400年以上になる。かくも長く人と共存してきたのだから、諸悪の根源とは片づけないでほしい。

フランスの名門病院が4月に発表した調査にも触れておきたい。コロナ感染者482人を調べたところ、喫煙者の割合は約5%で、同国の喫煙率約35%を大幅に下回ったという。研究チームは、ニコチンが細胞受容体に付着し、ウイルスの侵入を妨げるのではないかとの仮説を示した。

他の同種の調査も含め、まだ検証が待たれる状態である。しかし、仮に信憑(しんぴょう)性が証明されれば、コロナの実態解明や治療に道が開かれるかもしれない。それがたばこの「害」を帳消しにすることはないにしてもである。

北方領土交渉でロシア側の責任者を務めるこわもてのラブロフ外相は、大の愛煙家、ウイスキー飲みだ。ラブロフ氏が外相の前に国連大使を務めていたころ、当時のアナン国連事務総長が施設内禁煙を通達したが、「ここは全ての国の代表のものだ」と無視した。

こういう人を相手に「禁煙です」の一点張りでは芸がない。灰皿とグラスを用意し、気持ちを落ち着かせてもらった方が舌も滑らかになろう。(論説委員)