「感染拡大怖い」乳幼児健診の休止相次ぐ 子育て支援に空白 虐待発見の死角にも

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、行政や民間の子育て支援に空白が生じ、危機感が高まっている。乳幼児の集団健診や離乳食講座の休止が相次ぎ、親たちが育児相談を受ける機会も減少。休校の長期化で虐待リスクがある子供たちの安否確認にも影響が生じかねない状況で、支援策の在り方が課題となっている。(三宅陽子)

■3密で再開未定

 受診者が1カ所に集中すれば感染リスクが生じるとして横浜市は4月9日~今月29日まで、生後4カ月、1歳6カ月、3歳の集団健診を休止している。福岡市は4カ月健診を医療機関で個別受診できるよう準備を進めるが、休止する他の集団健診の再開時期は未定のまま。担当者は「再開には3密(密集、密接、密閉)を避けるような態勢が必要。どういう形でできるか」と模索が続く。

 相談の機会が失われることは、産後鬱などを見逃し、ネグレクト(育児放棄)なども早期発見できない可能性もある。元児童相談所長でNPO法人「おかやま児童虐待事例研究会」の松尾冀(のぞむ)代表は「健診休止で親が抱える不安などに潜む虐待リスクが見過ごされる恐れもある。健診の対象世帯には子育てに関する問診票を送付し、返事がない世帯には保健師が家庭訪問をするなど、きめ細かな支援が必要」と指摘する。

 こうした中、乳幼児の集団健診の休止を決めた東京都荒川区では4カ月健診の対象世帯に保健師らが電話をかけ、子供の成長や育児不安などを聞き取る対応を実施。必要があると判断すれば、家庭訪問や医療機関への橋渡しも行っている。

■離乳食講座中止

 各地では「離乳食講座」の休止や中止も相次ぐが、石川県野々市(ののいち)市では7カ月と10カ月の乳児向けに離乳食レシピの動画を公開。管理栄養士らが監修を務め、栄養バランスなどに配慮した内容で好評を得ている。

 東京情報大の市川香織准教授(母性看護学)は母子健康手帳の活用を勧める。「母子手帳では質問に答えることで子供の成長状況を確認できたり、年齢ごとに体重や身長を書き込んで平均的な値と比べたりもできる」と説明。「心配に思うことがあれば書き込んでおき、遠慮なく保健センターやかかりつけの医師らに相談してほしい」と求める。

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