生誕100年 コロナ禍で揺れる現代社会を射る「梅棹忠夫の目」

普遍性への志向

 梅棹は熱心なローマ字推進論者であった。漢字かなまじりという複雑な日本語表記を簡素化し、外国人にも学びやすい開かれたものにすべきだと訴えた。2004年、著書「日本語の将来」を刊行した際にインタビューした私に、「日本文明が生き残っていくためには、国際的な日本語にしないといけない。ローマ字にすれば、日本語を使う外国人はもっと多くなるはずです」と語った。他の業績と違って異論も多いだろうが、梅棹の思想の根底につながる考えだと感じた。それは普遍性への志向だ。若いころ梅棹は人工的な国際言語であるエスペラント語にも傾倒した。強固な合理主義者で、理解しやすい簡潔明瞭な文章は情報伝達に徹するかのようだ。京都生まれだが文化よりも文明を語る人であった。65歳の時に病気で視力を失った。心の千里眼で世界や未来を見渡していたのだ。

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