吉村知事「防戦一方から新たなステージに」

「府民や事業者の協力でここまで来られた」と話す吉村洋文・大阪府知事
「府民や事業者の協力でここまで来られた」と話す吉村洋文・大阪府知事

 「防戦一方の戦いだったが、ウイルスと共存していく新たなステージに入った」。事業者に対する休業要請を段階的に解除することになった大阪府。14日夜に会見した吉村洋文知事は、現在の状況をこう表現した。強調したのは、解除に伴い、感染者は今後、増加する可能性がある点だ。吉村氏は、府民に警戒を緩めないよう要請した。

 解除を決定するための府の対策本部会議は予定時間を超えて議論が白熱。終了後、報道陣が待ち構える会見場に現れた吉村氏は、新型コロナウイルス対策への厳戒態勢を示すために着ていたジャンパーではなく、白いワイシャツ姿だった。

 「(解除基準のクリアを示す)緑の信号をともすことができた。府民、事業者の協力があり、多くの犠牲を払いながらここまで来られた」

 会見冒頭に府民に感謝の意を示した吉村氏。その後は「次」のステージへの考えを述べていった。

 「徹底的に感染者を減らすことが目標なら休業要請の解除はしない」とした上で、段階的解除の意義については「社会経済を動かさなければ倒産や失業が増えて失われる命がある。医療、社会経済の両面から府民の命を守る必要がある」と説明。さらに「(感染流行の)第2、第3の波が出てくる可能性はある」「クラスターの発生や感染者の増加に転じる可能性がある」と解除のリスクについても言及した。

 「批判は受け入れる」と覚悟を示した上で、商業施設や映画館など業態ごとに16種類の再開のガイドラインについて説明を重ねた吉村氏。「ガイドラインを守ってもらえなかったり、新たにクラスターが発生したところは休業要請をすることがある。感染拡大防止策の協力をお願いしたい」と事業者に訴えた。

 感染が再び拡大すれば、改めて休業要請を出すなど強い対策に戻す可能性もある。

 「やみくもに進むのでなく、兆候を察知し、医療崩壊を防ぎながら、ウイルスを押さえ込んで社会経済を戻すのが進むべき道だ」と表情を引き締めた。

会員限定記事会員サービス詳細