新型コロナ 避難所の「3密」防げ 福岡県、災害対応で指針

平成29年7月の九州北部豪雨の被災住民が身を寄せた避難所。いかに避難者の密集を避けるかが課題となる=福岡県朝倉市
平成29年7月の九州北部豪雨の被災住民が身を寄せた避難所。いかに避難者の密集を避けるかが課題となる=福岡県朝倉市

 福岡県は、新型コロナウイルスの感染防止を踏まえた災害時の避難所運営マニュアルを作成し、県内市町村に提供した。人の密集を避けるため臨時避難所の確保や施設内の定期的な換気、避難者同士の間隔を十分に確保することなどを明記した。近年、水害が相次ぐ県内では梅雨入りを前に、人が集まる避難所でいかに新型コロナの感染を防ぐかが課題となっている。県は「マニュアルを活用し、感染防止対策に万全を期してほしい」と呼び掛けている。(九州総局 小沢慶太)

 福岡県は平成29年の九州北部豪雨、30年の西日本豪雨など度重なる水害に見舞われている。今年は新型コロナが猛威を振るう中で、災害時に避難所をいかに運営していくかは喫緊の課題で、従来にも増して感染症対策の徹底が求められている。

 マニュアルでは、災害に備えた事前準備として、密集を避け十分なスペースを確保するため、指定避難所以外に臨時避難所の確保を検討し、必要な場合は県有施設やホテル、旅館などの活用を求めた。被害が及んでいない近隣市町村の指定避難所も利用できるよう、あらかじめ協定を結んでおくなどの対応も示した。マスクや消毒液など感染対策に必要な物資の必要数を把握し、可能な限り準備しておく。

 災害発生後、避難所では1時間に2回程度の換気を行い、間仕切りやテントを活用し避難者は個人や家族ごとに2メートルほどの間隔を空けるようにする。

 マスクの着用や手洗い、消毒も徹底する。避難者や運営スタッフに対し、「37・5度以上の発熱が4日以上続いているか」など定期的に健康状態の確認も行う。

 避難者が発熱した場合、専用のスペースやトイレを確保し、一般の避難者と動線を分けるよう検討する。自宅療養している新型コロナ感染者や濃厚接触者の避難を円滑に行うため、保健所と事前協議し、一般の避難所とは別の避難先や避難の手順などをあらかじめ決めておく。

 県消防防災指導課は「手洗いなど基本的な感染症対策のほか、密集空間を回避することが重要だ。市町村はマニュアルを参考に避難所を運営してほしい」としている。

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