新型コロナウイルスの防疫対策として多くの国が学校の閉鎖措置を導入し、韓国や米国では学校に通えない子供たちを支援するためインターネットを介したオンライン授業が行われてきた。メディアもオンライン授業の動向を報じていて、IT(情報技術)先進国の韓国では教師の経験やノウハウ不足といった課題が露呈。世界最多となる120万人超の感染者を出した米国では、同国が抱える構造的な格差問題がオンライン授業で拡大することへの懸念が出ている。
≪ポイント≫
・IT技術は十分も教師の経験不足が課題
・横で視聴する親は教師へのプレッシャー
・貧困層の不参加が格差の拡大を招く恐れ
・大学では利点も多く需要が拡大の見込み
韓国 さながら保護者の授業
韓国は4月に全国の小中学校や高校でオンライン授業を順次導入した。新型コロナの感染経路の追跡などにIT技術を駆使し、感染の押さえ込みに成功、国際社会に「IT先進国」を印象づけた韓国だが、教育現場でのIT活用は必ずしも成功とはいえない実情が浮かび上がっている。
韓国各紙は、オンライン授業初日の4月9日から専用サイトに接続できないといったトラブルが相次いだ様子を報じた。出欠の点呼にも手間取る教師の姿も伝えられた。
韓国紙、中央日報は20日付のコラムで、授業の準備に悪戦苦闘する教師側の姿を描き、「『デジタルコリア(韓国)』という言葉が面目を失うほど、教育のIT化経験もインフラも貧弱だ」と指摘しつつ、「毎日拷問を受けている心情だろう」と教師らの立場をおもんばかった。