露軍の電子・サイバー戦の一体的展開が判明 無線遮断し偽メールで誘導、火力制圧

 ■露軍の電子戦「電子・サイバー戦が一体化」 廣惠(ひろえ)次郎陸将補に聞く

 宇宙・サイバー・電磁波という「新たな領域」の防衛に詳しい陸上幕僚監部指揮通信システム・情報部長の廣惠次郎陸将補が産経新聞のインタビューに応じた。廣惠氏は2月、ロシアの軍事介入を受けているウクライナを視察している。

 --ウクライナ軍事介入の作戦上の特徴は

 「ロシア軍(露軍)は電子戦装備の電波妨害でウクライナ軍(ウ軍)の無線通信を使えないようにし、連絡を取り合うためウ軍兵士が私物の携帯電話を使わざるを得ない状況に追い込んだ。その上で携帯に露軍の作戦を有利にするメッセージをメールなどで電子戦装備から送っている」

 「民間インフラである携帯電話網に入り込むのは電波による電子戦で、それにより携帯網をオンライン状態のようにしてメッセージを送りつけたりデータを改竄(かいざん)したりするサイバー戦の要素も一体化させた。世界で初めての非常に高度な作戦だ。民間インフラが利用され、一般国民の携帯も巻き込まれる恐れがある」

 --メッセージにはウ軍兵士に展開拠点を変更させる偽の指令や、「攻撃されるから逃げろ」などと兵士の士気を低下させることを狙ったものもあった

 「ウ軍兵士が偽の指令通りに誘導されれば火力攻撃を集中させ、兵士の携帯電話の電波発信源も割り出し、目標にして正確な火力攻撃につなげる。士気を低下させるメッセージは露軍の情報部隊が作成しているとみられ、実際に火力攻撃を受けているウ軍兵士はメッセージを信じやすく、心理戦も組み合わせている」

 --電子戦とサイバー戦に心理戦も融合させた三位一体の作戦だと

 「加えて火力戦闘部隊も結びついている。ウクライナでの作戦はハイブリッド戦と指摘され、新たな領域の作戦だけが注目されがちだが、従来の火力攻撃などを有効にする戦い方がハイブリッド戦で、ウクライナでの作戦は典型だ。こうした戦い方に備えなければならない」