新型コロナウイルスの感染拡大による自粛ムードの広がりが、各地の飲食店を苦境に追い込んでいる。重点的な対策が必要な特定警戒都道府県を中心に営業時間の短縮を余儀なくされた店が多く、売り上げが急減する中で家賃や人件費が経営を圧迫している。
「こんな形で店を畳むことになるなんて…」。コンサートホールなどが入る東京都調布市の施設で洋食店「スリジェ」を営むシェフの豊嶋正さん(69)は力なく話す。例年であれば音楽祭や歓送迎会でにぎわう書き入れ時だが、感染拡大でイベントが次々に中止となり、5月末まで入っていた約450人分の予約は全てキャンセルに。月60万円の家賃などの経費は市の減免措置を受けられる見通しとなったものの、毎月300万円近くあった売り上げはゼロのままだ。「続けていく気力も体力もなくなってしまった」。今は臨時休業の状態だが、近く閉店するという。