新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言の延長に伴い、重点的な対策が必要な13の「特定警戒都道府県」では休業要請を延長する動きが広がる。人の流れを抑制する対策に位置付けられるが、対象の事業者には経済的な負担が重くのしかかる。東京都は総額1920億円と見込まれる予算で延長期間も含めて協力金を支払うとしており、他自治体の取り組みや国の支援が焦点となりそうだ。
「都の経済を支えている皆さんを大事にしたい。皆さんと協力し、協力金とともに東京の経済の灯(ともしび)をつなげたい」。東京都の小池百合子知事は5日の記者会見で、休業要請に応じる中小事業者向けの感染拡大防止協力金を追加支給する意義を語った。
都は遊興施設や商業施設、運動・遊技施設など6区分の対象施設と業種に休業を要請。居酒屋を含む飲食店などには短縮営業を求めている。要請に実効性を持たせるため、都は4月に同協力金制度を創設し、これまでに申請件数は約5万1千件に上る。他自治体も国からの臨時交付金などを財源にすることを念頭に追随してきた。
緊急事態宣言の延長が現実味を帯び、都庁内で取り扱いが焦点となった。都幹部は「都の財政力から追加支給は可能だが、隣接県などと不公平感が出てしまう恐れがある」。小池氏も1日の定例会見で「1回の支給を行う仕組みだ」と慎重姿勢をみせ、国に事業者の家賃支援を注文してきた。
しかし、政府・与党内で調整が続く中、都は苦境に追い込まれている事業者の経営を下支えし、休業要請への理解も得るために追加支給に踏み切った。