レス時代の暮らし(下) 在宅で発見 同僚の新たな顔 

 「今、カレードリア食べてる」「私は納豆そば」「これはね、コーンフレーク」

 在宅勤務が一息ついた午後1時。パソコン上に表示されたビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」の無機質な四角い枠に、次々と笑顔が現れた。子供と一緒に枠におさまる人もいる。「元気?」「コロナ太りした人いる?」。他愛もないやりとりをしながら、それぞれ昼食を取り出した。

 1月末からグループ社員約4千人が在宅勤務体制を続けているGMOインターネット(東京)ではこのところ、ビデオ会議システムを使って、社員がランチを一緒に取ることが増えている。40分ほど、つかの間の雑談タイムだ。

 4月3日のランチ会は、江東、練馬、世田谷、新宿の都内各区、埼玉県朝霞市、オーストラリアと、ばらばらに離れて在宅勤務をする同社グループ社員6人が集まった。

 仕事の話題はほとんど出ない。

 「子供の卒業式は親の出席ができなかった」

 「それは寂しかったね」

 そんな家族の話や、在宅勤務でほとんど化粧をしなくなったことなど、近況をひとしきり話した。

 「在宅勤務を始める前は用件だけ済ませてデスクに戻ることが多かったけれど、オンラインでつながるようになってから職場の人との雑談が増えた気がする」と話すのは、ランチ会にも参加したGMOあおぞらネット銀行の細田暁(あ)貴(き)さん(44)。「お店の予約の必要もないから、飲み会も思い立ったらむしろ、以前より気軽に誘って開けるようになった」という。

 オフィスを離れて初めて、見えてきた仕事仲間の新たな一面もある。ビデオ会議システムは、顔だけでなく自宅や家族も映し出す。

 「ああ、この人もパパ、ママなんだと認識を新たにするようになった」

 自身も2児の母である細田さんは、ランチ会や飲み会に限らず、業務中にもこう実感することが増えた。

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