克服へ大きな一歩 特効薬かは未知数 レムデシビル特例承認へ

米製薬会社ギリアド・サイエンシズが開発した新型コロナウイルス感染症の治療候補薬レムデシビル(ロイター)
米製薬会社ギリアド・サイエンシズが開発した新型コロナウイルス感染症の治療候補薬レムデシビル(ロイター)

 エボラ出血熱の治療薬「レムデシビル」が新型コロナウイルスの治療薬として日本でも特例で承認される見通しとなった。実現すれば初の承認薬となり、明確な治療法がない新型コロナの克服に向けて大きな一歩を踏み出す。

 レムデシビルは米国立衛生研究所(NIH)が「患者の回復を早めた」との試験結果を公表するなど、有効性が期待されてきた。日米欧などの共同研究でも重症患者53人の7割近くで症状の改善が見られ、一定の効果が確認されている。

 新型ウイルスが人の細胞内で増殖するのを妨げる機能があり、他の薬との併用で、より高い治療効果が得られる可能性もある。

 一方、開発元の米ギリアド・サイエンシズ社は声明で「治療薬としての安全性と有効性は立証されていない」と明記。米国での使用は緊急時の特例扱いで、腎臓などへの副作用も懸念されており、さらに精密な評価が必要だ。米国企業が製造するため日本への大量供給も期待しにくい。いつでも使える特効薬となるかは未知数だ。

 日本では供給の不安が少ない国産の新型インフルエンザ治療薬「アビガン」などの候補薬も治験が進んでおり、治療法の充実に向け実用化が急がれる。(小野晋史)

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