安倍政権考

社会部出身の総理番が感じた首相との距離感

 2月6日午後1時、首相と菅義偉(すが・よしひで)官房長官は官邸を出て衆院本会議に出席したが、菅氏は15分後に官邸へとんぼ返りし、直後に外交防衛政策を担当する北村滋国家安全保障局長が官邸に入った。そして夕方、政府の感染症対策本部は、日本へ向かっていたクルーズ船「ウエステルダム号」の乗員に対する入国拒否の方針を表明した。

 入管難民法に基づく入国拒否の措置は人権問題にも発展しかねないことから慎重な政治判断が必要になる。午後1時15分から政権幹部による臨時の協議が行われていたということだ。

 首相と全く接触がないかといえば、そんなことはない。官邸や国会、自民党本部の出入りの度に、じっくりとその表情、足取り、どの秘書官と話しているかを確認する。

 総理番の質問に応じることもある。首相は立ち止まってカメラに向かって話しているのに、この取材方式は「声かけ」と呼ばれている。

 なぜ「声かけ」なのか。安倍首相の就任当初は、一部の総理番による文字通りの「声かけ」が行われていた。だが、首相が発言した際に、事前に準備したテレビカメラで録画できるよう各社に周知するようになり、さらに秘書官側から質問を事前に通告するよう求められ、現在の形になったという。

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